2012年6月22日金曜日

核武装目指す日本:中国・北朝鮮の軍事拡大に対抗というアドバルーン?

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朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/22 12:37
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/22/2012062201108.html

【社説】中朝の軍事力拡大を口実に核武装目指す日本

 日本の参議院は20日、与野党が共同して34年ぶりに原子力基本法を改正したが、その目的条項に
 「わが国の安全保障に資する」
というこれまでなかった文言が新たに追加された。
 原子力基本法は日本にとって「核武装はしない」とする考え方を最初に定めた法律だが、今回の改正で「安全保障」に初めて言及したというわけだ。
 日本は1968年に「核を持たず、作らず、持ち込ませず」とする「非核三原則」を発表し、これまでこの方針を維持してきたが、今回の法改正で
 「日本はこの非核三原則を見直し、核を軍事活用する道を開いた」
との批判が相次いでいる。
 今回の法改正は最初に野党の自民党が提案し、これに与党・民主党と公明党が賛成に回って成立した。

 日本の軍事大国化と核武装を抑制しているのは、軍事力の保有と交戦権、集団的自衛権を禁じる憲法第9条1項だ。
 しかし法的に軍隊ではない自衛隊は、今なお世界3位の軍事予算(防衛費)を費やしており、また1990年代以降から本格化した右傾化の流れの中で、憲法までもその基盤が揺らいでいる。
 40年にわたり政権を握ってきた自民党は、この平和憲法の改正を公約として掲げており、与党・民主党の中にも憲法改正に賛成派の議員が徐々に増えている。

 また、日本の次期首相候補の1位と2位に名前が挙がっている大阪市の橋下徹市長と東京都の石原慎太郎知事は、いずれも日本の核武装を求める極右ポピュリストだ。
 9月に予想される衆議院選挙では、改憲に積極的な自民党や橋下市長率いる「大阪維新の会」など、いわゆる右派連合が過半数を占めると予想する声もある。
 このように、日本で平和憲法を守る政治的な囲いはすでに崩壊し、国民世論の後押しと国際情勢がプラスに働けば、
 いつでも核武装して軍事大国を目指す
という憲法改正の条件が整いつつある。

 中国は2005年以降、国防予算を年平均20%以上も急速に増やし、10年には尖閣諸島をめぐる中日間の対立が表面化した。
 そのため日本では
 「中国との衝突に備えるべき」
と主張する声も高まっている。
 さらに北朝鮮は3回目の核実験を準備すると同時に、憲法に同国を「核保有国」と明記した。
 これらの要因も結果的には日本の核武装論者を後押ししているのだ。

 昨年9月に日本の内閣府は、日本が国内外で管理しているプルトニウムの量について「1945年に長崎に投下されたTNT火薬2万2000トン級の核爆弾4800個以上を製造できる量」と公表した。
 つまり日本は、その気になればすぐにでも核武装し、軍事大国となり得る基盤を備えているというわけだ。

 現時点では東アジアの安全保障環境がどのような方向に急変するか、予想は難しい。
 このような情勢の中で、果たして大韓民国の次期大統領を目指す候補者たちは、この国の戦略的な方向性について真剣に考えているのだろうか。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/22 12:40
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/22/2012062201110.html

被爆国日本、タブーを破り軍備拡張に乗り出すのか
原子力基本法に「国の安全保障に資する」という文言

 唯一の原子爆弾被爆国・日本では、核開発疑惑を呼びかねない法律などの制定は、これまで一種のタブーとされていた。
 特に、昨年の福島第一原子力発電所の事故の後は、原発反対運動が広まって国内の54基の原発が全て稼働を停止したほど、反原発の雰囲気が強い。

 それでも今回、自民党だけでなく、民主党や公明党まで協力して原子力基本法に「(原子力利用の安全確保は)わが国の安全確保に資することを目的として、行うものとする」という文言を含めたのは、
 「中国脅威論」の影響
だと分析されている。

 特に、軍事面で急浮上する中国との間で尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる紛争が起きていることを受け、こうした声は一層広まった。
 これまで一部の極右の専有物でしかなかった中国脅威・恐怖論が、原発事故・不景気などと重なり、一般人の間にも広まっている。

■武器輸出三原則なども修正

 野田佳彦首相は、昨年末「武器輸出三原則」を修正し、武器の共同開発および輸出を許容した。
 日本はこれまで、武器輸出三原則があるため、米国などが推進する次世代戦闘機開発などに参加できなかったが、今後は参加が可能になった。
 宇宙関連の法律でも、平和的利用に限るとした条項を削除し、人工衛星を利用したミサイル防衛(MD)システムの開発を可能にした。

 これに伴い日本も、MDの構築など、宇宙兵器の研究開発に本格的に乗り出すことができるようになった。
 日本は、世界で初めて小惑星の探査に成功するなど、既に宇宙技術大国だ。

■大量のプルトニウムを確保した日本

 日本の原子力関連法改正に対し、周辺諸国が疑いの目を向けるのは、既に日本が原発の使用済み核燃料再処理によって核兵器数千発分に相当するプルトニウムを確保しているからだ。
 日本は公には否定しているが、その気になりさえすれば、プルトニウムを再処理して核兵器を作る能力があると専門家は評価している。
 実際、故・宮沢喜一元首相も、1991年に首相に就任する前
 「核武装は技術的に可能で、財政的にも難しくない」
と発言していた。
 また、安倍晋三元首相は 
「平和憲法は、自衛のために最小限必要な場合、核兵器を含むあらゆる兵器の保有を必ずしも禁じてはいない」
と主張した。

 核保有と再軍備にとって最大の障害となる平和憲法を改正する動きも出てきた。
 一部では、平和憲法が米軍の占領下で作られ、軍隊の保有を禁止したのは、事実上主権を放棄したものだという主張を行ってきた。
 このため、軍隊を保有した正常な国、すなわち普通の国を作ろうという憲法改正論は、自民党だけでなく民主党からも絶えず提起されてきた。

■総選挙後、本格的な再軍備に突入

 選挙が近づくにつれ、極右的な公約競争が加速するという見込みが出ている。
 自民党は、憲法を改正して自衛隊を国防軍に変えるなどといった、極右的な公約を連日打ち出している。
 自民党がこうした公約を打ち出すのは、核武装を主張する橋下徹・大阪市長や石原慎太郎・東京都知事が人気を集めていることも影響している。
 石原都知事は「中国が尖閣諸島を侵犯するのを、ただ見ているのか」として尖閣購入募金運動を展開し、わずか1カ月で8億円を集めた。

 こうした雰囲気は、今年9月に行われるとみられる総選挙が分水嶺(れい)になる見込みだ。
 現在、民主党の人気は地に落ちており、次の選挙では自民党と橋下市長率いる「大阪維新の会」の連立政権が誕生する可能性が高い。
 すぐさま核開発などに着手するということは現実的に不可能だが、軍備拡張に本格的に乗り出す可能性はあるというのが、専門家の分析だ。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/22 12:39
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/22/2012062201109.html

原子力の平和利用限定を見直す日本
原子力基本法に「安全保障に資する」という文言を追加
自民・民主・公明が協力

 日本が、原子力関連の法律に「安全保障の目的」を追加し、核の軍事的利用のための道を開いた。
 朝日新聞は21日、野党・自民党が主導し、与党・民主党と野党・公明党が同意する形で、原子力規制委員会設置法案が国会を通過したと報じた。
 同法案では、付則で原子力基本法を改正し、原子力の利用が「国の安全保障に資する」という文言を加えている。

 原子力基本法は、原子力の研究と開発利用の方針を定めた法律で、これまで原子力の開発は平和目的に限定すると定められていた。
 34年ぶりに関連条項が改正されたことを受け、事実上「核の軍事的開発」を可能にするものではないかという懸念が持ち上がっている。
 安全保障とは、日本では一般的に「防衛および軍事」の意味を持っている。
 昨年の福島第一原子力発電所での事故を受け、原発の管理・監督官庁を一元化する内容を骨子とする原子力規制委員会設置法案にも、同じ文言がある。

 原子力利用の安全確保は
 「国の安全保障に資することを目的とする」
という内容は、当初日本政府が提案した法案には存在せず、自民党・公明党の修正案に含まれていた。
 共産党・社民党は法案の審査で、こうした内容が含められることに反対したが、民主党は賛成した。

 藤村修官房長官は21日の記者会見で
 「政府として軍事転用などという考えは一切持っていない」
と述べた。
 しかし、原子力規制委員会設置法を作るという名目で「原子力の憲法」と呼ばれる原子力基本法まで改正するのは、今すぐではなくとも、この先の核の軍事的開発を念頭に置いたものだという批判が出ている。

 ノーベル賞受賞者の故・湯川秀樹氏らが創設した知識人団体「世界平和アピール七人委員会」は
 「実質的な軍事利用に道を開くという可能性を否定できない」
として撤回を要求する緊急アピールを発表した。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/22 12:50
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/22/2012062201116.html

日本の核武装、現実には難題山積
NPT脱退や改憲など、多くの難題

 日本が原子力基本法を改正したことを受け、韓国では「日本の核武装化」に対する懸念が持ち上がっているが、現実的には不可能だという見方が優勢だ。

 日本政府は1967年に「核を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を、当時の佐藤栄作首相が定めて以来、これを核関連の基本政策として守ってきた。
 歴代の自民党政権の首相も、就任前は極右派の票を得るために核武装論を主張したが、首相になると非核化原則を守ると強調した。

 核武装のためには「戦争放棄、戦力不保持、交戦権否定」を明示した平和憲法の改正が欠かせないが、これも容易ではない。
 憲法を改正するためには「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」が必要だが、どの政党も議席確保が容易ではない。

 反核の世論も確固としている。
 世界唯一の原子爆弾被爆国で、かつ福島第一原子力発電所の事故を経験しているからだ。
 電力不足や電気料金値上げの懸念があるにもかかわらず、国民の半数が原発の稼働に反対していることが、これを物語っている。
 日刊紙のある論説委員は
 「一部の勢力が、核開発の可能性を閉ざさないために、国民に知らせずに関連法を改正したが、日本国民は原爆に対して被害意識があるため、実際に開発につなげるのは難しい」
と語った。
 加えて、核武装するためには核拡散防止条約(NPT)を脱退しなければならず、脱退を強行すれば、かつての「戦犯国」として国際社会から排除され、また東アジアの核開発競争激化といった負担を甘受しなければならない。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/22 12:51
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/22/2012062201119.html

日本が原子力関連法を改正、韓国政府の反応は?
公式の論評はせず
「他国や日本国民の反応を探るためのアドバルーン」という分析も

 日本が原子力規制委員会設置法と原子力基本法に「国の安全保障に資する」という文言を含めたのに対し、韓国政府が直ちに何らかの措置を取ることはなかった。
 法改正の事実が日本のメディアで報じられた21日、韓国側は外交通商部(省に相当)報道官の論評ではなく、韓恵進(ハン・ヘジン)副報道官が
 「日本は核拡散防止条約(NPT)加盟国であるため、核武装国となるのは容易ではない」
という立場を表明するにとどめた。
 日本の国会による今回の立法は、直ちに日本の原子力政策に変化をもたらすものではない、と考えているわけだ。

 外交通商部の関係者は
 「日本政府の報道官役を務めている藤村修官房長官が、すぐさま“原子力を軍事的に転用する考えは一切持っていない”と語ったことも、考慮する必要がある」
と話した。

 しかし韓国政府は、日本政界がますます右傾化する兆しを見せている中、自民党主導で秘密裏に今回の立法がなされたことに注目している。
 日本政界が、核武装の可能性など幾つかのシナリオを念頭に置き、関連作業を緻密に進めることもあり得るからだ。
 韓国政府は、在日韓国大使館から関連報告を随時受け取り、日本政界の動向を分析している。

 また別の外交通商部関係者は
 「憲法第9条により、永久に武力行使ができない日本は、常に“正常な国”になろうとする欲望を持っている。
 日本政界が、他国や日本国民がどのように反応するかを見るため、アドバルーンを揚げてみたということも考えられる」
と語った。

 韓国政府は、日本政界の今回の動きが東アジアに大きな波紋を呼びかねないとみている。
 特に、日本のこうした動きが「核武装化」と理解された場合、北朝鮮が核プログラム保有を正当化する口実として利用するかもしれない、と懸念している。
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制が、これを口実として核兵器開発にさらに拍車を掛けかねないというわけだ。
 政府系研究機関のある専門家は
 「日本の今回の措置は、北朝鮮の核問題解決には良くない影響を及ぼし、中国を刺激しかねないという点から、注視すべき事案」
と語った。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/23 11:49
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/23/2012062300573.html

「原子力軍事転用の意志なし」 火消しに乗り出す日本

 原子力規制委員会設置法と原子力基本法に「(原子力の利用は)国の安全保障に資する」という文言を入れた日本が、内外から「核武装の道を開いた」という疑惑が提起されたことを受け、そうした意図はない、と一歩後退する姿勢を見せている。

 枝野幸夫経済産業相は22日の閣議後の記者会見で、原子力基本法などに「安全保障」という文言を明記したことについて
 「立法者(議員)の意志と内閣、政府としての解釈が一致して明確である以上、拡大解釈はない」
と語った。
 法の文言はそのままにして、政府の有権解釈を厳密にしたいという意味だと解釈されている。

 枝野経済産業相は
 「政府は(核テロを防止する)核セキュリティーや(核物質の軍事転用を防ぐ)保障措置や核不拡散の取り組みを原子力規制委員会に一元化するという観点から(『安全保障に資する』という文言が)加えられたと理解している」
と語った。

 法案を提出した自民党の吉野正芳議員は22日、本紙の電話インタビューに対し
 「安全保障条項は、日本の核兵器開発を防ごうという趣旨から入れたもので、監督官庁を独立法人化してもう少し透明性を持たせようということ。
 しかし、問題視されるのなら、これから話し合って法案を再び改めることもできる」
と語った。

 藤村修官房長官も、21日の記者会見で
 「政府は、原子力を軍事的に転用するという考えは全くない。原子力の平和利用原則となっている非核三原則の堅持にも変わりはない」
と語った。


 こういうのは注意を要する。
 「文言があれば解釈しだいでどうにでもとれる」ということ。
 よって、文言が残っていれば次の世代では、それに基づいて行動可能になる、ということになる。


朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/23 11:49
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/23/2012062300572.html

「原子力基本法改正の背後には核保有を目指す勢力」
「安全保障に資する」という文言を追加した改正内容を初めて確認した小沼名誉教授インタビュー

 「原子力が安全保障に寄与するという条項が追加されたのは、核兵器を保有したがっている勢力が、意図的に推進したことに違いない」
 小沼通二・慶応大学名誉教授(81)、日本の政治家が平和憲法に背く原子力関連法改正を事実上、国民に隠れて推進したと主張した。

 自民党主導で作成された原子力規制委員会設置法案・原子力基本法改正案は、今月15日に衆議院を通過したが、当時「国の安全保障に資する」という条項が追加されたという事実は誰も知らなかった。

 小沼名誉教授は
 「自民党は、約240ページある法案の資料を、審議当日の15日午前10時になって議員に配布し、議員たちは内容をきちんと把握できないまま当日午後に衆議院を通過させた」
と語った。
 小沼名誉教授は17日、自民党が原子力関連法におかしな改正を加えようとしているという話を聞き、関連法案を全て探って改正内容を確認した。
 その後、小沼名誉教授は「世界平和アピール七人委員会」という名義で19日に緊急アピールを発表し
 「実質的な軍事利用の道を開く可能性を否定できない」
として法案の撤回を要求した。

 七人委員会は、ノーベル賞受賞者の故・湯川秀樹氏などが創設した知識人団体だ。
 小沼名誉教授は素粒子物理の研究者で、日本物理学会の会長を務めたこともある。
 七人委員会のアピールが国会に伝えられた20日、参議院での法案審査の過程で、民主党や社民党の一部議員が問題提起を行ったものの、民主・自民・公明の3党が賛成派に回り、法案はそのまま通過した。

 小沼名誉教授は
 「外国の学者から“日本はプルトニウムを大量に保有し、核兵器を作ろうとしているのではないか”と質問された際には、原子力基本法で禁止されているため絶対に不可能だと言ってきた。
 今回の法改正は、何者かの意図によって核開発を防ぐ安全装置が一部解除された」
 「関連条項改正の事実が事前に公に話し合われていれば、原爆に対する国民感情(拒否感)があるため、国会は通過できなかっただろう」
と語った。

 小沼名誉教授は、一部の自民党議員が主張する
 「安全保障条項を追加したのは、テロリストから原子力を守るため」
という内容には無理があると述べ
 「ならば、原子力の安全措置を強化するという表現を盛り込むべきで、今すぐにでも法律を元に戻さなければならない」
と語った。
 小沼名誉教授は
 「核兵器を保有すべきだと確信している政治家や官僚がいるため、ほかの国との緊張関係が高まる状況になれば、核兵器保有論が一般人にも広まりかねない」
との懸念を示した。




朝鮮日報 記事入力 : 2012/06/23 11:47
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/23/2012062300571.html

日本、「核カード」で中国けん制の試み
北東アジアに「核ドミノ」の懸念も

 日本が原子力基本法などに「国の安全保障に資する」という文言を新たに追加し、核を軍事的に使用する可能性を示した背景には「中国脅威論」があると分析されている。

 外交通商部(省に相当)の関係者は22日
 「日本では最近、米国と共に世界の問題を話し合うほど世界の大国に浮上した中国に対する警戒心が高まっている。
 中国をけん制・封鎖しようという観点から、日本政界が今回の動きに出た可能性がある

と語った。

 北朝鮮の核兵器や長距離ミサイルなどに対する警戒心もあるが、中国を意識した側面が大きいというわけだ。

 日本と中国は最近、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権問題をめぐって対立している。
 昨年8月に中国初の空母ワリャーグが試験航海を始めたことも、日本を刺激したとみられる。
 空母ワリャーグが本格的に南太平洋に配備された場合、日本との摩擦は避けられないという指摘が多い。

 こうした両国間の緊張を反映するかのように、日本の書店では
 「中国は日本の海洋資源を狙って紛争を本格化させる
 「中国は結局戦争を起こす
といったセンセーショナルな内容の雑誌や書籍が飛ぶように売れている。
 中国脅威論が、一種の中国恐怖論にまで拡大しているというわけだ。

 日本は最近、中国の脅威に備えている。中国の海軍力拡大をけん制するため、新たな「防衛計画の大綱」により潜水艦の数を今後5年間で16隻から22隻に増やすとともに、新型戦闘機の追加配備も推進している。
 昨年末には、野田佳彦首相が「武器輸出三原則」を修正して武器の共同開発および輸出を許容した。
 また宇宙関連の法律からも「平和的利用」に限るという条項を削除し、人工衛星を利用したミサイル防衛(MD)システム開発を可能した。
 これらの措置は、いずれも中国のけん制が目的とされる。

 しかし日本は、財政赤字に東日本巨大地震まで重なったことで、防衛費はむしろ削減されており、対応は容易ではない状況にある。
 このため、一部の極右派は
 「核兵器や航空母艦まで備えた中国に対応するには、核兵器を保有するしかない
という主張を繰り広げている。

 これまで日米同盟と米国が提供する「核の傘」に安全保障を依存してきた日本の立場からすると、米国との関係が以前のようにはいかないというのも不安要因だ。
 日米は最近、沖縄の普天間基地移転問題や貿易交渉問題などで対立を続けている。

 しかし日本のこうした動きが続いた場合、中国けん制という目的の達成よりは、北東アジアに不安定をもたらしかねないという懸念の方が大きい。
 核兵器開発で国連から制裁を受けている北朝鮮が、自分たちの立場を正当化するため、日本政界のこうした動きを活用する可能性もあるからだ。
 また、韓米原子力協定によりウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理が禁止されている韓国にも、影響が及びかねない。
 「周辺諸国は全て核武装しているのに、なぜ韓国だけ手足を縛られているのか」
という批判の中から、強い「核サイクル完成論」が持ち上がるかもしれない。
 この問題に対する日本の対処によっては、北東アジアで「核ドミノ」現象が起こるなど地域情勢が揺らぎかねないというわけだ。




サーチナニュース  2012/06/27(水) 07:57
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0627&f=politics_0627_003.shtml

日本は核武装カードでわが国を牽制する意図あり=中国

  韓国紙・朝鮮日報(電子版)によれば、日本が「原子力基本法」に原子力が安全保障に寄与するという条項を盛り込んだのは、核を軍事目的に使用するための障壁を一掃するためで、その背後には「中国脅威論」の影響があると報じた。
 中国網日本語版(チャイナネット)は26日、
 「日本は核武装カードでわが国を牽制(けんせい)しているのか?」
と報じた。以下は同記事より。

  韓国の外交筋が22日に明らかにしたところによれば、
 「中国はすでにアメリカと対等同格になっており、共同で世界問題を論じていることから、日本は中国に対する警戒感を高めている。
 日本の政界はおそらく中国を牽制し封鎖するためにこのような動きに出ているのだろう」
という。

  日本の動きには北朝鮮の核兵器、遠距離ミサイルに対する警戒の意味が少なくないが、「中国脅威論」が考慮されている可能性はさらに大きい。

  最近、日本と中国の間では、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の主権問題が紛糾している。
 2011年8月、中国初の空母ワリャーグ号の試験航海が日本を刺激した。
 ワリャーグ号が南太平洋に出没すれば、日本との摩擦が生じることは必須との指摘もある。

  この影響を受け、日本では
 「中国は日本の海洋資源を狙っており、騒動を起こしたがっている」とか、
 「中国は最終的に戦争を仕掛けるだろう」
などという煽動的な内容の雑誌や本が売れている。 
 「中国脅威論」は「中国恐怖論」に格上げされているのだ。

 最近、日本は中国の脅威に対する備えを始めている。
 中国を牽制するために海上自衛隊を拡充する目的で、日本は「新防衛計画大綱」を修正した。
 修正後の大綱によれば、日本は今後5年以内に潜水艇を16隻から22隻に増加、新型戦闘機を配備するという。

  日本は2011年に「武器輸出3原則」を修正、武器の共同開発と輸出を許可し、宇宙関係の条項から平和利用を削除し、人工衛星による弾道弾ミサイル防衛システムの開発の道を拓いた。
 その目的はすなわち中国を牽制することにある。

  しかし、財政赤字と震災後の復興で日本の国防費は縮小され、順調には進んでいない。一部の極右勢力の中には、
 「核兵器や空母を持った中国に対抗するには、核兵器の開発をするしかない」
と主張するものもある。

  日本はずっと日米同盟と米国の核の傘に依存してきたが、米国との関係が以前と変わってきていることが日本を不安にしている。
 最近、日米を取り巻く普天間基地移転問題や貿易協定問題などで摩擦が起こっているからだ。

  だが、日本がこのような危険な行動を続けても、わが国を牽制するという目的を果たすことはできないばかりか、しかも北東アジアの局面を動揺させることになるだろう。
 核兵器の開発により国連が制裁している北朝鮮が、おそらく日本の行動を利用し、自分の立場を美化することがありうる。
 つまり、日本がこの問題にどのように対応するかによって、北東アジア地域に核ドミノ現象を誘発する恐れが出てくるだろう。






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